現実の経済から隔離の可能性
今はまだ仮想通貨による経済の黎明期のせいか,「仮想通貨がいかに現実世界に浸透していくか」というイメージで考えがちです。
現実の経済から離れたところで,仮想通貨経済が大きくなっていく可能性の芽について,ちょっと検討してみます。
一つは,openseaのようなNFT売買の隆盛です。いったい,あれを購入して何の意味があるのかは,なかなかわかりにくいです。openseaで購入した画像を自由に使ってよいかというと,なんとも言えない(すくなくとも,日本法でそのようなことは言えなさそう)。仮にopenseaとは別のサイトで同じものが売られていたとした場合,何かできるわけでもなさそう。結局,最小限の見方をすれば,「openseaで特定の日に,その画像データを買った」という事実以上は,何もないと言えます。それにお金を払うというのは,私を含め多くの人には投機以外の目的を想像しにくい気もします。
とはいえ,たとえばスポーツでも芸能でも,スターからサインをもらうという行為は,場合によってはサインにお金を払ってもよい人がいるということは理解可能です。そのサインされた色紙なりボールなりに,将来より高い値段が付く可能性についても理解ができます。この場合,サインをもら行為は投機目的でないことが多いでしょう。
そうすると,そのような形で,より踏み出した世界を理解できていない状況で,「そんなもの意味がない」と思っていたopneseaでの購入が,ごく当たり前の価値がでてくるかもしれません。もし,投機以外の目的の人がある程度いるとしたら,何か将来への萌芽の可能性があります。
次はもっときな臭いレベルです。
仮に,仮想通貨で一山あてて何億も儲けたとします。本来であれば,その半分程,税金で支払う必要があるとします。でも,踏ん切りがつかず,ズルズルとして,申告・税金の支払いをしなかったとします。
ここで,何億も儲けたものを,円なりドルなりに交換所で交換したら,足がついて税務署にばれるかも。真面目に申告していれば,半分ですみますが,きっと加算税や延滞金等ついて,もっとたくさんとられるでしょう。
そうなると,円やドルに交換するのはためらわれます。
または,もっと控えめな想定として,仮想通貨として何億になっているけど,ドルや円に換金したら税金がかかってしまうので換金をためらっているという場合もあるかもしれません。
で,せっかくお金をたくさんもっているのだから,仮想通貨のまま,見栄をはった消費なんてしてみたくもなります。
そういう人が相当程度いるとしたら,仮想通貨の経済圏での消費が活発化する可能性があるのではないかと思います。メタバースで豪邸をたてるとか,そういう需要が生まれる可能性があるような気もします。
そんなあたりで,現実経済から隔離された仮想通貨経済圏が発達する可能性は,多少なりとも想定できるのではないかと思います。