Defiベッティングと賭博罪

投稿者: mt 投稿日:

Defi、Dappsでスポーツベッティング、つまりスポーツの勝敗に賭けるギャンブルサイトがあります。
これを日本で行うことは賭博罪になるのでしょうか?

いわゆるDefiでない海外のスポーツベッティングサイトについては、当該サイトが「賭博罪は必要的共犯で、海外事業者が合法である以上、賭けた人も賭博罪にならない」というようなことが書いてあります。
ただ、これを信じて「大丈夫」と言えるかというと、そうでもなさそうです。
刑法の条文上、「海外事業者が合法なら、賭けた人も合法」と書いてあるわけではなく、法律の解釈の問題になっています。
政府は、衆議院での質問衆議院での答弁で、「賭博行為の一部が日本国内において行われた場合」に賭博罪の成立余地があるとしています。政府に法律解釈の最終権限があるわけではありませんが、裁判所がこのような解釈で有罪にする可能性は十分あります。

また、西村さひ法律事務所のニューズレターでこの問題についての検討をしています。
賭博罪が必要的共犯だとして、海外事業者が罪に問われないとしても、賭博罪が成立する余地ありとしています。
必要的共犯において、相手方に犯罪が成立したり、処罰されたりする必要はないということです。

では、Defi、Dappsなら?つまり、ブロックチェーン技術を利用した分散型システムを利用したベッティングサイトはどうでしょうか?
通常のベッティングサイトでの議論をそのまま利用することはできません。
必要的共犯であるとすれば、処罰対象にならないとしても必要的共犯が存在する必要があります。しかし、分散型システムですので、賭博の主催者は存在しません。無数のノード上で、ギャンブルプログラムが動いているだけです。システムの仕組みよっては、たまたまその賭けでの相手方相当の賭けをした人がいる可能性もありますが、そうでない可能性も出てきます。
ということで、賭博罪をあくまで必要的共犯である、とするのであればDefiでのベッティングサイトで賭博罪成立を主張するのは、だいぶ難しくなってくるだろうと思います。

ただ、刑法の条文に「賭博罪は必要的共犯」であると書いてあるわけではありません。賭博罪が必要的共犯であるかどうかは、解釈に委ねられています。
法律において、解釈に委ねる ことの意味は色々ありますが、時代の移り変わりに応じて立法当初想定しなかった事態に対応できるという意味もあります。
ということで、Defiベッティングという立法当時想定していなかった時代に則した法解釈として、賭博罪は必ずしも必要的共犯ではない、という解釈の余地もあるといえます。

まあ、海外で合法化されているものについて、そこまでして違法化して処罰する必要があるかというと疑問ですが。目をつけられたらお咎めを受ける可能性はあるということです。

また、現状からするとDefiといっても、Webサーバを分散化しきれていませんので、基本的には主催者らしきもののサイトが存在することになります。なので、Defiなので相手方はいないと言っても、いまいち説得力はないかもしれません。
メタマスクで直接、ベッティングできるようになると、本当にDefiベッティングな感じになりそうです。