国家秩序介入の必要性
仮想通貨による経済圏(クリプトエコノミクス)において,おそらくのところ,
- ギャンブルは自由に設定できる
- 無限連鎖講(ねずみ講)のようなものも,簡単にできる。
- 貸金が成り立てば,金利規制はなくなり,高利貸しも自由にできる。
- 詐欺をしても,国家権力による民事・刑事的な救済は期待できない。
という状況が予測されます。つまり,インターネットにおけるモザイク問題なんてもんじゃないくらい,国内法的規制に意味がなくなる可能性が高いです。
では,それは,どの程度まで望ましくないのでしょうか?
もちろん,ギャンブル等の規制には一定の意味があるので,それをうまく規制できれば,それに越したことはありません。ただ,それを規制できないような経済圏は危険だから禁止・排除すべきかというと,そこまでではないと思います。
というのは,クリプトエコノミクスにおいて危険にさらされるのは,あくまでその経済圏における財産権だけだからです。生命身体に危害を受けるおそれもありません。国内法秩序において賭博による権利を無効としておけば,バクチによって,現実世界での財産を身ぐるみはがされる危険もありません。
高利貸しは現実世界にも取り立てが来るかもしれませんが,それは,現に今も存在しているヤミ金以外の何物でもあいません。
そんなわけで,クリプトエコノミクスにおいて国家秩序が及ばなかったとしても,ある意味ではタカが知れているのではないかと思います。