農業と商業とクリプトエコノミクス

投稿者: mt 投稿日:

クリプトエコノミクス,つまり仮想通貨による経済圏と国家秩序との関係は,なかなか難しいところです。

国家秩序からすれば,所得の把握や課税が困難だし,賭博・金利等の規制も困難,さらに強制執行等の権力行使も困難なので,クリプトエコノミクス自体の禁止の誘惑に駆られるほどのものだろうと思います。
反面で,クリプトエコノミクスがもたらすメリットの大きさを考えると,いくら頑張って禁止したところで地下に潜るだけなので,やはり両立するあり方を目指していくほうが上策といえます。
未曾有の問題が発生したかのようです。

でも,このような問題は人間が国家を形成しはじめてから,つい最近までずっと続いていた問題なのではないかと思います。それは,商人の問題です。

基本的に国家は農業ベース,土地ベースで成立します。なので,農地と農民を把握し,農民に課税をし,農民にルールを強制する半面で保護するというのが基本の仕組みです。
ところが,商人はいくら稼いでいるのか,どこにいるのか(店を構えていればともかく,多くは行商だったと思われる)把握するのが困難で,課税は難しかっただろうと思います。なので,できればその存在を認めたくはなく,侮蔑したり,排除したりしこそすれ,保護する対象ではなかったものと思われます。
その中で,許可制で商売を許し,場所代をとったり,上前をはねたりして,なんとか国家秩序と両立させてきてものといえます。

ただ,そのような時代は中世と呼ばれていて,どうにも暗くて発展性がないイメージです。日本でいえば織田信長あたりが商業重視政策で勝ち,世界史的にも商人が世界をまたにかけて金を稼ごうとしはじめた西洋が勝利をおさめたといえます。

つまり,多少の不公平さやグレーさは目をつむりつつ,適当なところで商業と農業国家の秩序を両立させていった後に発展があったという歴史があります。

クリプトエコノミクスもおそらく似たような状況が生まれる,当面はゴチャゴチャしつつも最終的には何らかの形に収まっていくのかなと思います。